PGT-A(着床前遺伝学的検査)
PGT-A(着床前遺伝学的検査)について
PGT-A(Preimplantation genetic testing for aneuploidy)とは、体外受精によって得られた胚の染色体数の過不足を調べる検査です。
当院はPGT-A承認実施施設です
日本産科婦人科学会
『不妊症および不育症を対象とした着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)に関する細則』に基づく対象者
2025年9月より対象が拡大されました。
1)体外受精胚移植で2回以上不成功を経験しているカップル
2)流死産を2回以上経験しているカップル
(1、2において夫婦のいずれかに染色体構造異常が確認されている場合を除く。)
3)女性が高年齢の不妊症のカップル(35歳以上)
染色体数と流産
染色体とは、遺伝子の集合体です。ヒトの染色体数は、44本(22対)の常染色体と、性別を決める性染色体2本(1対)の計46本(23対)あります(正倍数)。卵と精子が受精すると、23本ずつ染色体をもらうため46本になるはずですが、染色体がうまく分離されず、染色体数が多すぎたり、少なすぎたりする受精卵ができてしまうことがあります。このような受精卵は、ほとんどが着床しなかったり、流死産の原因となってしまいます。
体外受精後の受精卵の染色体数を調べて正倍数が確認できた受精卵を移植することで、着床不全や流産の確率が下がることが期待されます。
PGT-Aの方法
体外受精を行い、受精卵を胚盤胞まで培養したあと、栄養外胚葉から5~10細胞程を採取します(胚生検)。
採取した細胞は専門機関に検査を委託して遺伝子解析を行い、胚盤胞は解析結果が出るまで凍結保存されます。
実際の胚生検の様子
メリットとデメリット
メリット
正倍数の胚盤胞を選択して移植することで、妊娠率の向上や流産率の低下が期待されます。
妊娠までにかかる時間経過の短縮に繋がることが期待されます。
デメリット
細胞採取による胚盤胞にダメージが伴う可能性があります。
正倍数性であっても必ずしも着床、妊娠できるわけではありません。
判定結果は100%ではなく、偽陽性、偽陰性の場合が想定されます。
PGT-Aの対象
日本産婦人科学会の見解により対象者は以下の方となります。
1)体外受精胚移植で2回以上不成功を経験しているカップル
2)流死産を2回以上経験しているカップル
(1、2において夫婦のいずれかに染色体構造異常が確認されている場合を除く。)
3)女性が高年齢の不妊症のカップル(35歳以上)
当院でのPGT-Aの流れ
①PGT-A相談・PGT-A説明動画の視聴
事前相談のうえ、説明資料の配布と遺伝カウンセリングの予約
※遺伝カウンセリングを受診するまでに3つの説明動画の視聴が必須
下記リンクの説明動画を必ずご夫婦でご視聴ください
① 「不妊症および不育症を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT-A・SR)」について*1
② 「PGT-Aの検査対象をなぜ限定しているのか」*1
※1 日本産婦人科学会ホームページ「不妊症および不育症を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT-A・SR)」より
③ 当院によるPGT-A説明動画*2
*2 ID及びパスワードは当院の配布資料をご確認ください
②遺伝専門医による遺伝カウンセリング外来(ご夫婦)
当院の顧問遺伝専門医である丸山医師による説明と同意
③採卵・胚培養・胚生検
採卵周期を開始し、採卵から胚盤胞培養を行い、可能なものは胚生検生検後、胚盤胞は凍結保存へ
④遺伝解析
採取した細胞は検査会社(株式会社OVUS)へ送り、遺伝子解析
(解析結果が出るまで約2週間ほど)
⑤結果説明・カウンセリング
当院の顧問遺伝専門医である丸山医師による結果説明
⑥胚移植
移植可能胚が得られたら、移植周期を開始し、胚移植へ
下記リンクの説明動画を必ずご夫婦でご視聴ください
① 「不妊症および不育症を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT-A・SR)」について*1
② 「PGT-Aの検査対象をなぜ限定しているのか」*1
※1 日本産婦人科学会ホームページ「不妊症および不育症を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT-A・SR)」より
③ 当院によるPGT-A説明動画*2
*2 ID及びパスワードは当院の配布資料をご確認ください